Azure の基礎 その13 SLA とコスト
前回「Azure の基礎 その12 ID管理とコンプライアンス」の続きです。
今回はラーニングパス「Azure の基礎 第 6 部:Azure Cost Management およびサービス レベル アグリーメントに関する説明」の概要を書いていきたいと思います。
SLA
"サービスレベルアグリーメント" (SLA) とは、サービス企業と顧客の間の正式な契約のことです。Azure では、この契約によって、Microsoft がお客様に対してコミットするパフォーマンス基準が定義されます。
まずは、SLAを理解する上、重要な2つのこと「ダウンタイム」と「サービスクレジット」について説明します。
パーセンテージとダウンタイムの関係
SAL の記載でよく目にするのが、99.99% といったパーセンテージです。この数字がどんな意味を表すのか、表にしてみました。
SLA | 週間ダウンタイム | 月間ダウンタイム | 年間ダウンタイム |
---|---|---|---|
99% | 1.68 時間 | 7.2 時間 | 3.65 日 |
99.9% | 10.1 分 | 43.2 分 | 8.76 時間 |
99.95% | 5 分 | 21.6 分 | 4.38 時間 |
99.99% | 1.01 分 | 4.32 分 | 52.56 分 |
99.999% | 6 秒 | 25.9 秒 | 5.26 分 |
とても簡単な例ですが、eコマースサイトを運営していて、1日の売り上げが平均100万円だったとします。
SLA が 99% だった場合、月間7.2時間のダウンタイムとなりますので、約30万円の機会損失が発生します。ゆえに、クラウドでの設計においては、SLA が大切となります。
サービスクレジット
サービスクレジットとは、お詫びです。
提示した SLA に満たなかった場合に Azure が該当月のリソース使用料金を割り引いてくれます。
(例)同じリージョン内の 2 つ以上の可用性ゾーンにデプロイされた仮想マシン
月間稼働率 | サービスクレジット |
---|---|
< 99.99% | 10% |
< 99% | 25% |
< 95% | 100% |
この例では、SLA が 95% を下回ったら 100% を返金してくれるということです。
サービスレベルアグリーメント(SLA)
下記のワークロードにおける SLA を計算してみます。
各サービスの SLA は以下です。こちらのページで各サービスの SLA が確認できます。
サービス | SLA |
---|---|
Azure Virtual Machines | 99.9% |
Azure SQL Database | 99.99% |
Azure Load Balancer | 99.99% |
仮想マシンは2台あり、どちらも稼働していなければいけないという前提ですので、上記ワークロードの SLA 計算結果は以下となります。
$$0.999\times 0.999\times 0.9999\times 0.9999=0.9978=99.78\%$$可用性を上げる事で SLA を向上させる
仮に、複合 SLA の要求が 99.9 パーセントであった場合、要件を満たしていません。その場合の対策として、仮想マシンの可用性を上げる方法があります。
Azure 仮想マシンの複数のインスタンスを複数の可用性ゾーンにデプロイする場合、仮想マシンの SLA は 99.99 パーセントに向上します。
$$0.9999\times 0.9999\times 0.9999\times 0.9999=99.96\%$$コスト
Azure には、TCO 計算ツールが存在します。
これは実際に使ってみるのが早いですね。試しに、オンプレで WindowsServer の仮想マシン2台、SQLServer 1台を Azure へ移行した場合の料金を比べてみましょう。
コストは10分の1以下になりました。Azure 移行は明らかにお得ですね(笑)。おそらく、私の入力した内容に不備があったのでしょう(Azure側にDBの料金がない)。
単純に Azure の料金だけをみた時、WindowsServer の仮想マシン2台、SQL Database 1台を5年間運用して、約1,000万円ですから、1年間ですと200万円ですね。やはり、安くはないですね。
最後に
これにて、AZ-900 Microsoft Azure Fundamentals のラーニングパスは終了です。
明後日の試験が受かるといいな〜。
おしまい。