日本と中国の関係史 後編(1945年~現在)
日本と中国の関係史
対中戦略を考える上で、日中の関係が歴史的にどうだったかは、抑えておくべきでしょう。
参考にしたのは、こちらの本『嘘だらけの日中近現代史(倉山満)』です。
日本と中国の関係史 後編(1945年~現在)
さて、戦後の世界秩序はアメリカを中心に世界の覇権争いが繰り広げられています。
1948年から1989年まで続いた米ソ冷戦、そして、現在も展開されている米中冷戦です。
米ソ冷戦下におけるアメリカの対中政策は、対ソ連で協力していこうというものでした。
そのため、アメリカは中国が日本に対して工作を仕掛けていることを警戒しませんでした。
また、中国が経済発展すれば、いずれ民主化すると思っていましたが、見当が外れてしまいます。
結果として、中国共産党による、より強固な一党独裁国家が出来上がるのを許してしまいました。
そして、2022年現在も米中の覇権争いが繰り広げられています。
戦後の日本政治は親米か親中かで分けられる
年表の人物で赤い文字で記載している人物は、全て「親中」です。
青い文字で記載している人物は、全て「親米」です。
日本の親中政権
日本では長らく親中政権が実権を握っていました。
こうやって年表にしてみると、実に長い期間、親中政権が君臨していたんだなと驚いています。
加えてやっかいなことに、アメリカにも親中政権があったということですね。
佐藤栄作(1964年~1972年)
池田勇人の病気退陣で後を継いだ佐藤栄作はタカ派の印象が強い政治家です。
中国問題でも実兄の岸信介と同じく台湾推しと見なされていました。
中国問題とは、中国の正当な政府は台湾の中華民国か、中国共産党の支配する中華人民共和国か、という問題です。
日本は1952年の日華平和条約より、中国の正当な政府は、台湾の中華民国と見なしていました。
しかし、佐藤栄作は政権末期の1972年3月1日に「台湾は中華人民共和国の固有の領土」と失言しています。
「台湾は中国のモノ」と本気で考えていなければ、この失言は出てきません。
また、佐藤政権の末期に誕生したアメリカ大統領のニクソンは、ソ連を共通の敵として毛沢東と手を組んでしまいました。
田中角栄(1972年~1974年、1976年~1982年)
総理大臣としては1972年~1974年で、ロッキード事件を契機に総理の座から引きずり降ろされてしまいます。
しかし、そこから復活を果たします。
田中角栄は、利権をばら撒くことで権力を手に入れ、1976年~1982年は闇将軍として裏から日本の政治を操りました。
田中と鄧小平は持ちつ持たれつの関係になっていきますが、力関係では明らかに鄧小平の方が上でした。
鄧小平は中国の経済発展のために、日本の金を求め、田中角栄は対中ODAとしてそれに応じました。
この間、たくさんの日本政治家が中国に貢いでいます。
特に、1972年の日中国交正常化は国辱です。
これは、日本と中国の国交回復ではなく、単に国家承認の相手を中華民国から切り替えただけです。
内容としては、中国の正当な政府を中華人民共和国と見なすもので、日華平和条約を否定するものでした。
中曾根康弘(1982年~1987年)
中曽根はレーガン大統領との密接な関係を強調しました。
しかし、政権の中枢には親中派の後藤田正晴、瀬島龍三がいました。
瀬島が会長を務めていたのが伊藤忠商事で、どこの国の企業かと言われるほど、中国に根を張っています。
中曽根自身も中国にすり寄っていきました。
ただ、アメリカとしては共産主義者に日本を取られるわけにはいかないので、中曽根を同盟国として尊重しました。
アメリカの都合で中曽根の長期政権がありました。
竹下登(1987年~2000年)
竹下政権の時期はアメリカのクリントン大統領の時期と重なります。
クリントンは「ジャパン・パッシング」を貫きます。
日本そのものがアメリカから無視されているので、竹下登の媚中政治は問題になりませんでした。
田中角栄の時代から数えて「30年」、日本は中国へ尽くしてきたという歴史です。
最後に
日本と中国の関係史を勉強していくと、なんだか悲しい気持ちになりました。
戦後の総理大臣は親中が多い
年表を作ってみて分かりましたが、戦後の日本政治は親中の時期の方が長いです。
それだけ、日本の政治に中国の工作が深く入り込んでいるということです。
これを取り払うのは、今後、容易ではないでしょう。
少なくとも戦後の55年体制(政権担当能力のある野党不在の自民党政権)が続いている内は、自浄作用が働きにくいため、そこから脱することは難しいでしょう。
果たして、戦後の総理大臣で、、、
さて、日本には戦後、自分の意思で、日本の将来のために政治を動かした総理大臣が何人いたでしょうか。
人によって名前は異なるでしょうが、私は、吉田茂、岸信介、池田勇人、安倍晋三、菅義偉がそれに当たるのではないかと思います。
日本政治は米中の代理戦争の場となる
今後、予想されるのは、日本の政治・経済・軍事が、米中の代理戦争の場として機能していくという見立てです。
中国の狙いは明らかで、日本の弱体化(経済的、軍事的)、日米関係の悪化です。
自民党内に、親米議員、親中議員がいますので、どちらが政権の中枢を担うのかという戦いになるでしょう。
そして、現在の岸田政権は閣僚人事を見ると親中寄りですので心配です。
おわり
どんな世の中になろうとも、自分の身は自分守れるよう強くなるしかありません。