太陽光発電の撤去費用込みのシミュレーション

  • 家づくり
  • 新築時に「経済メリットを考えたら太陽光発電は取り付けたほうが良い」というわけではないので、解説したいと思います。

    太陽光パネルの本当のライフサイクル

    ライフサイクル

    たとえば、5kwの太陽光パネルの場合、こんな感じでしょう。

    • 新築時 太陽光パネルを屋根に設置 130万円
    • 15年後 パワーコンディショナー交換 20万円
    • 20年後 メンテナンス 20万円
    • 30年後 太陽光パネルは発電しなくなる

    20年後のメンテナンスは仮置きです。

    30年も運用していれば、何らかの不具合や、架台の接合金物の交換などあるかもしれません。

    でも、1つ、大事なことが忘れられていますね。

    撤去は?

    30年後に太陽光パネルが発電しなくなったらどうするのでしょうか?

    そうなったら、太陽光パネルは屋根の上の産業廃棄物です。

    ただのゴミではありません、毒物を含みますので、有料で処理しなければならない産業廃棄物です。

    誰も撤去の話をしない

    太陽光発電を推している人に共通しているのは「撤去」を考慮していないことです。

    太陽光パネルのライフサイクルの終点は「撤去」です。

    今回は、太陽光パネルの撤去費用も含めた本当の太陽光発電シミュレーションを公開します。

    太陽光パネルの撤去費っていくら?

    20年後、30年後の撤去費用については技術革新もあるでしょうから、現時点で予想するのは困難です。

    という前提のもと、現在の分かる範囲で情報を集めてみました。

    金額はあくまで目安として受け取ってください。

    撤去にかかる作業項目

    • 取り外し作業・・・太陽光パネルを屋根から取り外す作業
    • 電気工事・・・太陽光パネルに繋がっている電気関係の工事
    • 足場設置・・・2階の屋根に登るためには必要
    • 運搬費用・・・処分場までの運搬車両と運転手の手配
    • 処理費用・・・廃棄 or リサイクルにかかる費用

    撤去費用

    色々なサイトの情報を総合して、だいたいの金額の目安を出しています。

    前提条件「2階建ての屋根の上に5kWの太陽光発電システム」とします。

    項目費用
    取り外し作業5万円
    電気工事5万円
    足場設置15万円
    運搬費用5万円
    処理費用10万円

    撤去費用は合計で45万円がかかります。

    発電しなくなった太陽光パネルは処分せず、放置される

    発電しなくなった太陽光パネルは、ただの産業廃棄物です。

    取り外すのにも費用が掛かり、捨てるのにも費用が掛かります。

    今、家を建てた施主は、30年後は何歳でしょうか?

    きっと高齢者になっているでしょう。

    太陽光パネルの未来は、太陽熱温水器と同じ未来をたどるでしょうね。

    発電しなくなった太陽光パネルはそのまま屋根の上で放置されていることでしょう。

    太陽光パネルの撤去費用を含めたシミュレーション

    年間発電量は京セラのシミュレーションを利用しました。

    東海地方と

    では、シミュレーションを見てみましょう。

    前提

    • 太陽光発電システム 5kW
    • 太陽光パネルの経年劣化 毎年0.5%の発電量低下
    • 電気の自家消費率 30%
    • 電気代 26円/kWh(従量電灯、最初の10年間)
    • 電気代 29円/kWh(従量電灯、11年目〜20年目)
    • 電気代 32円/kWh(従量電灯、21年目〜30年目)
    • 売電価格 16円(最初の10年間)
    • 売電価格 8円(残りの20年間)
    • 設置費用 130万円(26万円/kW)
    • パワーコンディショナー交換費用 20万円(30年間で1回のみ)
    • メンテナンス費用 20万円(30年間の合計)
    • 撤去費用 45万円

    年間発電量6,000kWh(東海地方の南向き)のシミュレーション結果

    年間発電量5,200kWh(東海地方の東向き・日本海側の南向き)のシミュレーション結果

    年間発電量4,600kWh(日本海側の東向き)のシミュレーション結果

    シミュレーションして分かったこと

    経済的なメリットは日照条件が良く、長期間の運用があってこそ

    日照条件の良い地域でかつ、南向きに太陽光パネルが設置できた場合、経済メリットが出ます。

    ただし、20年間の運用では経済メリットはありません。

    25年間の運用で収支はプラスマイナスゼロくらいです。

    30年間を無事に運用できたとして50万円程度のメリットです。

    日照条件が良く長期間の運用が出来て初めて、経済メリットが出ます。

    日照条件の悪い地域では、太陽光発電はやめておくべき

    特に、雪の降るような地域では冬の日照時間が減少します。

    日本海側の地域や、東北、北海道では、太陽光パネルはお勧めできませんね。

    南面に設置できない場合、撤去費用で30年間の収支がマイナスになってしまいます。

    太陽光パネルの優先順位は決して高くありません

    太陽光パネルを設置するくらいなら、断熱の仕様をグレードアップしましょう。

    床材、壁紙を自然素材にグレードアップしましょう。

    キッチンをグレードアップしましょう。

    ユニットバスをグレードアップしましょう。

    それでも、お金にゆとりのある場合は「趣味として」太陽光パネルを設置しても良いかもしれませんね。

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